「本人主体の支援」は、本人の言う通りにすることではない ― 心配でも、本人の選択を大切にするということ
― 心配でも、本人の選択を大切にするということ
台風で風が強い日も、雪が降る日も、いつもと同じ時間に仕事へ出かける利用者さんがいます。
私たちは心配になって、いろいろとアドバイスします。
でも、本人の行動はなかなか変わりません。
結局、心配しながら送り出し、無事に職場へ着いたか確認しています。
こういうとき、本人主体の支援とは何なのだろう、と考えます。
「臨機応変にできない」と決めつけていないか
悪天候でも同じ時間に出勤する姿を見ていると、状況に応じて予定を変えることが苦手なのかもしれない、と思うことがあります。
でも、それだけなのでしょうか。
職場で期待されている。その期待に応えたい。休まず働きたい。
そんな気持ちもあるのではないかと思っています。
私たちには危なっかしく見える行動でも、本人にとっては大切な意味があるのかもしれません。
行動だけを見て、その人の思いまで決めつけない。
これは、日々の生活支援で忘れたくないことです。
本人の言う通りにするだけでよいのか
「本人が行くと言っているのだから、仕方がない」
そう言って何もしないのも、少し違うと思います。
危険だと感じたら、私たちは心配していることを伝えます。
実際に、天候の状況を本人と一緒に確認したり、職場に相談できないか一緒に考えたりしてきました。
それでも、本人はいつもと同じ時間に出勤します。
私たちの助言が、必ずしも本人の行動を変えるわけではありません。
だからといって、何もしないわけにもいきません。
本人が仕事を大切にしている気持ちを尊重しながら、安全について一緒に考える。それが私たちにできる支援なのだと思います。
もちろん、明らかに危険な状況では、安全を確保するための対応が必要です。
本人主体とは、本人任せにすることではない
「本人主体」という言葉を聞くと、支援者はあまり口を出さない方がよいと思うかもしれません。
でも、私たちは生活を支えるために関わっています。
本人が知らない選択肢を伝えることもあります。
一緒に試してみることもあります。
うまくいかなかったときに、次はどうするか考えることもあります。
逆に、支援者がよいと思うことを本人に押しつけてしまうこともあります。
だから、支援者自身の考え方も、ときどき振り返る必要があるのでしょう。
大切なのは、本人に従ってもらうことでも、本人に任せきりにすることでもありません。
本人が大切にしていることを知り、選べる方法を一緒に考えること。
私は、そう思っています。
心配がなくならなくても
悪天候の日に仕事へ出かける利用者さんを見て、今でも心配になることがあります。
アドバイスしたからといって、必ず行動が変わるわけではありません。
それでも、その人が仕事を大切にしている気持ちまで否定したくはありません。
本人の考えと、私たちの考えが違うこともあります。
本人主体の支援とは、支援者の思い通りになることではない。
そんな当たり前のことを、日々の暮らしの中で考えさせられています。

