お風呂に入りたくない人をどう理解する?―「清潔にしましょう」の前に考えたいこと
「お風呂に入らなくても、死にはしないでしょう」
以前、利用者さんからこんなことを言われました。
確かに、そうなんですよね。
でも、何日もお風呂に入っていないと、こちらとしては気になります。
「そろそろお風呂に入りませんか?」
そう声をかけても、本人はあまり気にしていない様子。
支援者として、どう関わればいいのか。考えさせられた一言でした。
体臭が気になる。でも、どう伝えたらいい?
以前、利用者さんの体臭がかなり気になったことがありました。
ところが、ご本人はまったく気にしていない、あるいは気づいていない様子でした。
正直、困りました。
「臭いですよ」とは、なかなか言えません。
そこで私は、体臭を直接指摘するのではなく、汗疹(あせも)のことを話しました。
清潔を保つことは、皮膚の健康にもつながります。
でも、本人が必要性を感じていなければ、なかなか伝わりません。
本人は困っていない。でも、支援者は気になっている。
この違いをどう埋めるか。今でも難しい問題だと思っています。

「お風呂に入りましょう」を繰り返すよりも
入浴を促すとき、私たちがよく行う方法があります。
それは、本人と事前に「いつお風呂に入るか」を相談して決めておくことです。
例えば、個別支援計画などで入浴の予定を一緒に立て、入浴できたかどうかを確認する。
その場その場で「入りましょう」と繰り返すよりも、本人が納得して決めた予定を大切にする方法です。
もちろん、予定した日に入れないこともあります。
そんなときは、なぜ入れなかったのかを一緒に考え、必要なら計画を見直します。
計画は本人を管理するためではなく、本人が自分の生活を組み立てるためのもの。
ここは大切にしたいところです。
高齢化によって変わってきた入浴支援
最近、もう一つ考えていることがあります。
私たちのグループホームでも、利用者さんの高齢化が進んできました。
これまでは自分で入浴することが基本でしたが、これからは転倒や体調の変化など、安全面の見守りも必要になるかもしれません。
また、介助が必要になれば、同性介助についても考えなければなりません。
ただ、安全のためとはいえ、本人のプライバシーや羞恥心を無視してよいわけではありません。
本人の希望を聞きながら、どこまで手伝うのか、一緒に考えていく必要があります。

清潔にすることは、誰のため?
「毎日お風呂に入るのが普通」
私たちは、つい自分の生活習慣を基準にしてしまいます。
でも、それは誰の普通なのでしょうか。
もちろん、健康や社会生活に影響が出るなら、必要なことは伝えなければなりません。
一方で、本人がなぜ入りたくないのか、何を負担に感じているのかを知ることも大切です。
「お風呂に入らなくても死にはしない」
あの言葉を聞いたときの戸惑いは、今でも印象に残っています。
本人の暮らしを大切にするというのは、本人の言う通りにすることでも、支援者の考えを押しつけることでもない。
その間で迷いながら、一緒に考え続けることなのだと思います。

